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どぶろく鬼ババァー全国V/酒造り4年・福知山の佐藤さん

 どぶろく鬼ババァー全国V/酒造り4年・福知山の佐藤さん

 福知山市大江町でどぶろくを醸造している「割烹(かっぽう)さとう」の杜氏(とうじ)、佐藤則子さん(63)の「どぶろく鬼ババァー」が、全国どぶろくコンテストの糖度と酸味の高い「濃芳醇(ほうじゅん)の部」で最優秀賞に輝いた。酒造りを始めてから、わずか4年での快挙。佐藤さんは「後味のいい、どぶろくができた。まだまだ未熟なので、勉強して基本に忠実なお酒をつくっていきたい」と話している。(大島渉)

  「元気なうちに、やりたいことをやりなさい」。酒造りのきっかけは、母の美恵子さんが2010年に82歳で他界する前に残した言葉だった。「新しいことに挑戦したい」。それまで酒をほとんど飲んだことがなかったが、旧大江町の地域が「どぶろく特区」に認定されていたことから、酒造りに挑むことを決めた。

  高速バスに乗り、兵庫県立工業技術センター(神戸市)へ通って学んだ。「試験管を使って発酵などを勉強した。知らないことを吸収でき、化学者みたいで楽しかった」と振り返る。

  11年から、割烹の隣に新設した醸造所で酒造りにとりかかった。未知の領域だったため、最初のどぶろくづくりでは、タンクのそばに布団を敷き、3日間寝泊まりして状態を見守ったことも。「単純な原料から複雑な味や香りが生まれるのが面白い」と思える好奇心もあって技術は向上し、昨年のコンテストでは入賞を果たした。

  「鬼ババァー」は、割烹を経営する夫の博行さん(67)が「どぶろくは悪いおばあさんがつくっているイメージがあるから」と親しみを込めて命名。佐藤さんも「インパクトがあって、意外と女性も面白がって買ってくれる」と笑う。

  兵庫県で今月開かれた全国コンテストには、過去最多の116銘柄が出品され、「濃芳醇の部」(59銘柄)で最優秀賞を受賞。糖度、酸味とも低い「淡麗の部」(57銘柄)でも優秀賞に選ばれた。

  「鬼ババァー」は、国定公園に指定されている同市の「毛原の棚田」で、佐藤さん夫婦が育てたコシヒカリを使用。米をほとんど磨くことなく、まろやかな味わいと独特の甘みが特徴で、女性に人気があるという。

  佐藤さんは「これからも、お客さんの声に耳を傾けながら、いいどぶろくをつくっていきたい」と話す。

  1本(500ミリ・リットル)1380円で、割烹さとう(0773・56・0066)で販売している。