五輪を紹介

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課題クリア 成長を実感

 課題クリア 成長を実感

 

  • 「年齢やキャリアに関係なく責任ある仕事を任され、サポートもしてもらえるのがありがたいです」(東京都千代田区で)=川口正峰撮影
  •   JR東京駅を見下ろす高層ビルのオフィス。東京証券取引所(東証)の取引が終了する午後3時、コンピューターに膨大な取引データが届く。

      「BNPパリバ証券」株式・派生商品業務部部長の浅田真奈さん(28)が最も忙しい時間だ。

      日本株の取引が正しく決済されるよう、顧客や取引所と照合を実施。内容を確認してもらうための報告書をシステムで自動処理し、その日のうちに顧客に送る。

      作業の効率化やミス予防のための改善策もチームで検討。顧客の要望に対応し、消費税アップなど市場の新ルールに沿うシステム構築について担当者に提案するのも重要な役目だ。

      浅田さんの仕事は、部門の業務がスムーズに行われるよう管理すること。正確で迅速な事務処理に加え、コミュニケーション能力も求められる。

      「外資系というと派手な印象を持たれがちですが、『縁の下の力持ち』です」

      東京都内の女子大卒。就職で重視したのは「自分が成長できるか」。金融業界の中でも変化が激しい証券会社に絞って活動し、仕事を任せてもらえそうなBNPパリバに巡り合った。

      ベテランの中に新卒で入った1年目。仕事のマニュアルの中に、新人が間違えやすい点があることに気づいて修正を提案したことで、業務改善プロジェクトを任された。業務を一つ一つ見直し、必要性が下がったものを簡略化し、新しいツールを使った効率的な仕事の仕方も発案した。

      「自分で課題を見つけ、解決できる」点が評価され、入社5年目で2人のチームのリーダーに。昨年には部長に昇格した。3人の部下はいずれも30歳代半ばで、男性もいる。自分より年上の人をまとめることに戸惑ったが、「上から指示、命令するのでなく、『一緒に努力していきましょう』という姿勢でやるしかない」と腹をくくった。

      「マネジャーとしてはまだまだ、商品知識ももっと必要。『やってみろ』と、課題を与えられ、クリアすることで自分の成長が実感できます」(針原陽子)

     【工夫】ニコちゃんマークで気持ち共有

    •   4人のチームでは、日頃から緊密なコミュニケーションを図ることが必要。実践しているのは、毎朝10分のミーティングだ。ホワイトボードを前に、その日の予定や、前日に問題があった点、いま携わっているプロジェクトなどについて報告し、情報を共有する。

        ちょっとした潤滑油になっているのが、ホワイトボードの一角に書かれた3種類の「ニコちゃんマーク」。自分の今日の体調や気分に合うマークのわきに、メンバーが棒を引き、簡単に説明もする。名付けて、「チームバロメーター」=写真=。

        「元気です」「息子が風邪をひいていて悲しい」など、体調や置かれた状況が分かる。「具合が悪い」時に仕事が集中していればフォローしたり、「今日は誕生日」であればケーキを買ってきて祝うこともある。

       【休日】登り切る達成感 格別

      •   同期入社のメンバーと、「やったことのないスポーツ」にいろいろ挑戦した中で、気に入ったのが、道具を使わずに岩を登る「ボルダリング」。2010年ごろから本格的に始め、今は週に1、2回は必ずボルダリングのジムに通う。

          「仕事のほとんどがパソコンの前なので、体を動かすのが楽しい」

          体一つで岩を登るシンプルなスポーツであり、頭を使って一番登りやすいルートを探すというゲーム的な楽しみもある。何度も挑戦して、岩を登り切った時の達成感は格別という。

          週末は月1、2回、ジムの仲間と一緒に国内の岩に登りに行くのが習慣になった=写真は、東京・奥多摩の三ノ木戸の岩場=。

          「いつか、フリークライミングの『聖地』である、アメリカ・カリフォルニア州のヨセミテ渓谷に行きたいですね」

          「短い時間ですが、『今日も一日、頑張ろう!』という気持ちを共有できます」

        あさだ・まな

         1986年、東京都生まれ。聖心女子大文学部で国際文化を学び、フランス人学生と討論会などを企画する課外活動に従事。2008年にBNPパリバ証券入社。14年から、キャピタルマーケッツ業務本部株式・派生商品業務部部長。