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滑走路の液状化阻止 深夜の羽田空港で進む耐震工事

 滑走路の液状化阻止 深夜の羽田空港で進む耐震工事

 

 

 

  国内各地で、将来を見据えたインフラの整備事業が進んでいる。山では迫り来る自然災害に備え、都市では国際競争に打ち勝てるような力を高め、地方では人を呼び集めてにぎわいを生み出す――。このように現状の社会的課題を高度に解決し、新しい日本を構築しようという事業は少なくない。連載「日本大改造」では、今後のインフラ整備の指針となりそうな事業に着目し、日本の社会基盤を人知れず支える現場の実像に迫る。第5回は、耐震化と老朽化対策を目的に、羽田空港のC滑走路周辺で進められている大工事を紹介する。

 

  ほんの数時間前まで飛行機が行き交っていた滑走路を、誘導路の地盤改良を施工するための工事用車両が列を成して横切る。東京、そして日本の玄関口である羽田空港において、C滑走路周辺の機能強化を図る大工事を、滑走路の運用を止めている真夜中に動かすための静かなる号砲だ。国土交通省が事業を進めている。

 

 列を成して施工現場に向かう工事用車両(写真:澤田聖司)

 

 

  その代表は、長さ3000mのC滑走路などの耐震化と同滑走路の老朽化対策である。C滑走路の老朽化対策は約50億円、C滑走路などの耐震化では、現在施工中の事業までで約200億円の事業費を見込む。

 

  耐震化の内容は、レベル2地震動を考慮した液状化対策工事だ。薬液注入工法と静的締め固め工法を併用して補強する。前者は埋設物などの構造物が近接する場所で、後者はそれ以外の場所に用いる。

 

 

 羽田空港の空撮(写真:国土交通省東京空港整備事務所)

 

 

  既に2013年度までに、滑走路中央部の2000mの区間は工事を終えており、2014年度以降は、C滑走路中央部付近の誘導路や滑走路端部などの耐震化を図っていく。誘導路などの地盤も改良することによって、震災後も空港内を飛行機が移動できるようにするのだ。

 

 ■地盤改良は「管理値内で施工」

  地盤を改良する厚さは、液状化層が多いところで15mほどに達する。滑走路で許容される勾配は1%以内なので、注入材を地盤に入れる際には、地盤の盛り上がりなどの変動に十分に注意しながら施工する必要がある。

 

  誘導路の地盤改良施工を担当する五洋建設・清水建設JV(企業共同体)で監理技術者を務める東山文雄氏は、「管理値内で施工できている」と話す。

 

 

 C滑走路で進む舗装改良工事の様子(写真:鹿島道路・前田道路JV)