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企業進出、復興後押し=航空機・車関連で集積も―地域間のばらつき課題・大震災4年

 企業進出、復興後押し=航空機・車関連で集積も―地域間のばらつき課題・大震災4年

 

  東日本大震災から間もなく4年。被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県では地元企業の再建に加え、東北以外に本社を置く大手企業の進出も目立ってきた。「今年は沿岸部でも復興への形が見えてくる」(守本憲弘東北経済産業局長)との期待も高まるが、人手不足などで産業復興がままならない地域も残る。

  ◇雇用創出に期待

  福島県いわき市で2月23日にあった大王製紙の新工場起工式。佐光正義社長は震災復興への貢献を掲げ、「紙おむつ事業の東の拠点建設がいよいよ始まる」と力を込めた。地元から80人近くを採用する予定で、「工場立地は復興の助けになる」(タクシー運転手)と歓迎の声が広がる。

  3県への企業進出では、復興に向けて国や自治体が設けた補助金が呼び水となっている。東北経産局によると、震災前年の2010年に15件だった域外企業による3県での工場立地数は、11年が29件、12年が33件、13年が15件。14年の集計はまだだが、堅調に推移したもようだ。

  中でも自動車産業は、トヨタ自動車が東北地方を「国内第3の製造拠点」と位置付けたことで、宮城県を中心に関連企業の集積が進行。福島県北部から宮城県南部の沿岸部では、IHIなど航空機関連企業の工場建設が相次ぐ。

  「震災後の生活は厳しかったが、工場で働くようになって将来の計画を立てやすくなった」。航空機部品大手ジャムコが13年4月に宮城県名取市に開設した新工場に勤める笠松貴司さん(36)は、安定した職場がある意義をこう語る。桃園健志工場長も「皆さんの期待を肝に銘じている」と話す。

  ステンレス加工のメルコジャパン(茨城県日立市)は、3月中に宮城県山元町で航空機部品の新工場を着工する。栗田益行会長は「Uターン人材が増えており、受け入れ先として期待されている」と指摘し、工場増設も視野に入れている。

  ◇人手不足が壁に

  企業進出や産業復興の歩みにはばらつきも見られる。宮城県石巻市では、津波の被害を受けたマルハニチロ子会社の工場跡地が更地のままだ。同市では主力産業である水産加工業者の8割程度が操業を再開したが、売り上げ低迷にあえぐ事業者が少なくない。人手不足でフル操業が難しいことも一因だ。

  岩手、宮城、福島3県の有効求人倍率は全国平均を大きく上回り、石巻市など沿岸部では2.0倍を超える。雇用状況の改善を示す数字だが、津波の記憶から沿岸部での仕事は敬遠され、復興需要が続く建設関係に求職が偏る傾向が続く。…