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冤罪国賠訴訟 原告側、一部勝訴も喜びなし

 冤罪国賠訴訟 原告側、一部勝訴も喜びなし

 ◆「控訴審高いハードル」

  「判決は極めて不十分だが、検討した上での判断だ」――。氷見市で2002年に起きた婦女暴行・同未遂の冤罪(えんざい)事件で再審無罪となった柳原浩さん(47)が国や県などを相手取った国家賠償請求訴訟。県に約1966万円の賠償を命じた富山地裁の判決について、控訴しないことを表明した原告団の表情に、一部勝訴が確定することへの喜びはなかった。県側は既に控訴しないことを表明しており、判決は24日に確定する。

  23日、東京都内で行われた記者会見で、原告側代理人の前田裕司弁護士は厳しい表情で「控訴審のハードルが高く、楽観的になれなかった」と控訴断念の理由を説明した。

  原告となる冤罪事件の被害者にとって国賠訴訟のハードルが高いのは、捜査の違法性を示す証拠の多くが警察や検察側にあるからだ。専門家らによると、これまで再審無罪を巡る国賠訴訟の確定判決は少なくとも6件あるが、勝訴のまま確定したのは1件のみという。

  一方、確認的な取り調べを違法とした判決は「今後の取り調べに影響を与える」と評価した。

      ◇

  県警の伊藤泰充本部長は23日、原告の勝訴が確定しても、関係者の懲戒処分はしない意向を示した。