五輪を紹介

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「大手町を日本文化のテーマパークに」、星野リゾート

 「大手町を日本文化のテーマパークに」、星野リゾート

 

 

 

  2020年の東京五輪と2027年のリニア中央新幹線開通という、2つの追い風を受けて大規模建設プロジェクトが加速する「TOKYO」。“大改造”を通じて国際都市・東京はどのような変貌を遂げるのか――。日経BP社の専門記者が、開発熱が高まっている10のエリアで進行している、延べ面積1万m2(平方メートル)以上の大規模建設プロジェクトを独自調査した。今回は、大手町に温泉付きの日本旅館を開業する星野リゾートの戦略を取り上げる。

 

  東京に旅館はないのか──。日本文化の体験を望む目の肥えた訪日外国人は、ホテル以外の選択を求める。オフィス街の東京・大手町に日本旅館を実現しようと、旅館運営の雄「星野リゾート」が動いた(図1)。

 

 図1 大手町に開業する日本旅館「星のや東京」外観は周囲のビル群に溶け込むようなデザイン。入り口から客室まで畳敷きとなっており、日本の文化を体験できる宿泊施設となる。設計者は三菱地所設計とNTTファシリティーズの共同企業体(資料:星野リゾート)

 

  訪日外国人の多くは宿泊地に東京を選ぶ。2013年に東京都内に宿泊した外国人は983万人と、2位の大阪府(431万人)を2倍超も上回った(図2)。首都圏を好む訪日客は多いものの、東京を訪れた外国人からは不満が漏れる。「東京には温泉を楽しめる日本旅館がない」という失望の声だ。

 

 図2 2013年の都道府県別の外国人延べ宿泊者数。観光や商用で東京都に宿泊する訪日外国人は大阪府の2 倍以上。一方、都心部には高級旅館がないこと対する不満の声も少なくない(資料:観光庁)

 

  東京五輪に向けて増え続ける旅行者を当て込んで、東京ではホテルの開発ラッシュが続く(図3)。ホテルオークラ東京本館など老舗も建て替える。

 

 図3 五輪開催決定後に開業、あるいは開業予定の主要ホテルをプロットした。五輪会場計画は現在、見直し作業が進められている(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の立候補ファイルと取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 

 

  欧米風ホテルは都内に林立しているが、和の雰囲気を楽しめる高級旅館はなかなか見当たらない(図4)。その不満の声に応えようというプロジェクトがオフィス街の大手町で始まった。

 

 図4 選手村から半径10km圏内の客室数東京都心には高級から中級のホテルが多いが、個人旅行者が好む低価格ホテルが不足している(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の立候補ファイル)

 

  「星のや東京」。2016年度に開業を予定する地下3階、地上18階建ての日本旅館だ。