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「日韓関係のトゲ抜いた」が…出口見えない状況

 「日韓関係のトゲ抜いた」が…出口見えない状況

 【ソウル=豊浦潤一】韓国政府は14日、加藤達也・産経新聞前ソウル支局長(48)に対する出国禁止措置を解除した。

  日韓外交筋は「日韓関係のトゲを抜いた」と評するが、本格的な雪解けに向かうかは不透明だ。

  韓国外交省報道官は14日の定例記者会見で、「検察当局が取った措置だ。韓日関係とは無関係だ」と述べ、外交的な懸案ではないとの従来の立場を繰り返した。だが、別の韓国政府関係者は14日、本紙に対し、「対日外交への配慮もあった」と打ち明けた。

  韓国政府にとって加藤氏の出国禁止問題は、日韓外務当局者同士が協議を行うたびに日本側から持ち出され、頭痛の種となっていた。

  最近では、対北朝鮮や対中国への戦略上、日米韓の連携を強化したい米国から、日韓和解を求める圧力が強まっていた。韓国の知日派の国会議員は、「在韓米大使館員と会うと、『日本との関係改善は一体どうするつもりか』という話ばかりだ」と明かす。

  ワシントンでは16日、米国の主導により日米韓外務次官会談が行われる。その後、今月末から安倍首相が訪米する予定だ。朴槿恵(パククネ)大統領も6月にも訪米の見通しで、韓国は事前に関係改善に取り組む姿勢をアピールする必要があった。

  日韓安保対話でソウルを訪問した外務省の伊原純一アジア大洋州局長は14日、「あらゆることを契機に日韓関係がさらに良くなることを希望している」と報道陣に語った。しかし、今回の措置が契機となって日韓間の懸案が解決し、安倍首相と朴大統領との首脳会談に結びつくかは依然、予断を許さない。韓国側は今回の措置を糸口に、いわゆる従軍慰安婦問題で日本側から「誠意ある解決策」を引き出したい考えとみられる。日韓の主張の差は大きく、出口が見えない状況が続いている。