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<集団的自衛権>行使要件「他に手段ない」明記へ 安保法案

<集団的自衛権>行使要件「他に手段ない」明記へ 安保法案

政府は新たな安全保障法制の整備で、集団的自衛権を行使できる要件として、安保関連法案の条文に「国民を守るために他に適当な手段がない」との文言を明記する検討に入った。この要件は「武力行使の新3要件」に含まれ、公明党が行使の歯止め策として条文への明記を主張している。政府と自民、公明両党は14日から、安保法制整備に関する与党協議会を再開し、法案の具体的な条文の検討に入る。【飼手勇介、青木純】

【新安保法制】元防衛官僚が指摘「間違いなく戦死者が出ますよ」

 自民、公明両党は13日、安保関連の会合をそれぞれ開き、与党協議会で法案策定作業を加速し、今月末までに具体案のとりまとめを目指すことを確認した。

 政府はそれを受け、5月中旬に法案を閣議決定し、通常国会に提出する方針だ。

 集団的自衛権をめぐっては、昨年7月の閣議で、日本への武力攻撃がなくても、(1)密接な関係にある他国への攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある(2)国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力の行使--の「新3要件」を満たせば、集団的自衛権の行使が可能になることを決めた。

 このうち、自公両党は(1)の第1要件について、安保関連法案に条文として盛り込むことで既に合意。公明党はさらに、武力攻撃事態法や自衛隊法の改正案に(2)の第2要件を盛り込むよう求め、結論は先送りとなっていた。

 個別的自衛権については、政府は憲法上の解釈として、日本に対する武力攻撃が発生した際、▽これを排除するために他に適当な手段がない▽必要最小限度の実力の行使--を要件に行使できるとしてきた。だが、「他に手段がない」「必要最小限度の実力行使」については、武力攻撃事態法など現行法に明記せず対応してきた経緯がある。このため、政府・自民党では当初、集団的自衛権の行使についても、第2要件の明記は「必要ない」との意見が大勢だった。

 公明党は、他国軍を防衛するために自衛隊が武力行使する集団的自衛権の行使に当たっては、より限定的にすべきだと主張。第2要件に「国民を守るために」との文言が加わったことを重視し、関連法案への明記を求めていた。

 政府は集団的自衛権の行使について、中東・ホルムズ海峡の機雷掃海などを想定しているが、公明党は第2要件を法案に盛り込むことで、集団的自衛権の行使をより慎重に判断する「歯止め」となるとみている。

 政府・自民党内でも「公明党の理解が得られるなら譲れる範囲だ」との意見が強まっている。

 【ことば】武力行使の新3要件

 政府は昨年7月の閣議で、個別的自衛権のみを認めていた「自衛権発動の3要件」に代わり、集団的自衛権の行使を可能にするために、新たな武力行使の要件を決定した。新3要件は(1)日本、または密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある(2)日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使--で、集団的自衛権を限定的に行使できる仕組みとした。