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<昭和シェル石油>家庭向け電力販売事業参入する方針

 <昭和シェル石油>家庭向け電力販売事業参入する方針

 26日に就任した石油元売り大手、昭和シェル石油の亀岡剛社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は毎日新聞のインタビューに応じ、来年4月に自由化される家庭向け電力販売事業に参入する方針を明らかにした。傘下のプロパンガス販売特約店を通じて首都圏で電気を販売し、ガスや灯油などとのセット販売も検討する。家庭向け電力市場の自由化まであと1年。異業種からの参入を目指す動きが加速している。
 
  亀岡社長は、石油の国内市場の伸びが期待できない中で「電力市場は今後も需要増が期待できる」と指摘し、「電力需要が集中する首都圏で、来春にかけて発電効率の良い自社の発電所が運転開始することも強みになる」と参入の狙いを語った。同社は、今年12月にバイオマス発電所が、来春には東京ガスと共同建設する液化天然ガス火力発電所が運転開始する。来年4月時点で総出力62万キロワット分の電源を持つ予定で、一部を家庭向けに販売する。
 
  さらに亀岡社長は「プロパンガスの特約店を通じた消費者とのつながりは、電力販売にも生きる」と強調。特約店が扱うプロパンガスや灯油とセットで電気を割安に販売したり、店舗が扱う太陽光発電システムと組み合わせた家庭向けエネルギーの効率的な利用も提案したい考えだ。
 
  家庭向け電力市場の自由化で、大手電力会社が独占販売していた7.5兆円規模とされる市場が開放される。今月11日時点で、新規参入の小売事業者(新電力)の届け出件数は約600社に上り、1年間で3倍に急増した。
 
  中でも家庭向け市場の3分の1を占める首都圏市場は激戦区となっている。石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは、自社ブランドのクレジットカード会員を対象に電気とガソリンのセット割引販売を検討。東京ガスは、都市ガスと電力、通信などを組み合わせたセット販売を検討中で、通信事業者と業務提携の協議を進めている。エネルギー業界以外では、東京急行電鉄も沿線の東京都や神奈川県の一般家庭を対象に電力販売事業に参入すると表明。ケーブルテレビなどの東急グループのサービスと組み合わせ、割安に販売することで顧客の囲い込みを狙う。【安藤大介】