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これぞ北陸の黒! 本当に真っ黒なラーメン「富山ブラック」ならこの店に行け

 これぞ北陸の黒! 本当に真っ黒なラーメン「富山ブラック」ならこの店に行け

 

 北陸新幹線のおかげで、富山は首都圏から気軽に日帰りもできる場所になった。その富山が誇る究極のB級グルメ「富山ブラック」をご存知だろうか? 名前の通り真っ黒なスープが異彩を放つラーメンは、濃厚でパンチの効いた味わい。富山で下車するならぜひ味わってほしい逸品だ。そこで今回、地元民にも人気の富山ブラックの有名店を紹介しよう!

 労働者のために生まれた「富山ブラック」は見た目にもインパクト十分!

ネット上で命名されたラーメン

 「大喜」の屋号を受け継いだのが「西町大喜」(写真は西町本店)

 富山ブラックの原型は、昭和22年(1947)に誕生したとされている。大空襲に見舞われた富山の復興の一端になればと、とある屋台の店主が汗を流す労働者のために、塩分濃度が高い濃厚醤油スープを楽しめるラーメンを売り始めたのが始まりだという。ここであえて”原型”と言ったのには理由がある。この時、富山ブラックという名称はまだなかったのだ。

 その屋台は後に「大喜」という屋号で店舗を構えたが、2000年頃に惜しまれながらも閉店。貴重な味を絶やさないようにとすぐに屋号を引き継いだのが、現在富山市内で展開している「西町大喜」である。西町大喜をはじめとした富山市内の数店が提供する濃厚醤油の黒いスープのラーメンが、ネット上で富山ブラックと呼ばれるようになったことで、今日、全国に知られる富山のご当地ラーメン・富山ブラックが定着していったという。

 富山ブラックという呼び名が定着してからはさらに提供する店が増え、地元の人によると「20~30軒ほどの店で富山ブラックは出されているのではないか」、ということだった。果たしてどんな味なのか、実際に食べ歩いてみよう。

元祖の味を継承する「西町大喜」

 やっぱり気になるのは、元祖の味がどのようなものだったのかということ。閉店した大喜の味を継承した西町大喜は、富山市内に4店舗を展開している。富山ブラックの原点を知るにはこの店しかないだろう。

 今回訪れた西町本店で注文したのは、富山ブラックのオーソドックススタイルともいう「中華そば・並」(750円)。濃厚な醤油スープに太めのストレート麺、そして同店ならではなのが、塩辛く煮込んだメンマだ。このメンマだけでも、汗とともに失われた塩分とミネラルがチャージされそう。

 さらに、チャーシューと粗切りネギもたっぷり。実に豪快でパンチの効いた味に仕上げられているため、ご飯と一緒に食べることをオススメしたい。まさしく労働者のための味と言えるだろう。

 「西町大喜」の「中華そば・並」(750円)

オリジナル魚醤で勝負する「麺屋いろは」

 次に向かった「麺屋いろは」は、地元・富山だけでなく関東、関西、海外にも展開しており、東京ラーメンショーで2014年売り上げ第1位、通算5度の日本一に輝いた実績もある。そのため、富山ブラックと言えばいろはをイメージする人も多いだろう。

 今回、射水本店で注文したのは「富山ブラック味玉ラーメン・並」(870円)。黒々とした見た目はいかにもしょっぱそうだが、意外にあっさり。それでいて深いコクがあり、とても食べやすい味に仕上げられている。味の秘密は鶏ガラと魚介を合わせたスープ、そしてオリジナル黒醤油・魚醤とのこと。富山ブラック初挑戦の人は、まずはいろはから食べてみるといいかもしれない。

 「麺屋いろは」の射水本店

 「富山ブラック味玉ラーメン・並」(870円)

無添加スープと手打ち麺にこだわる「万里」

 オープン以来、”化学調味料無添加””極低かん水””青竹手打ち麺”の富山ブラックを提供し続けている、富山市内で営業する「万里」も注目の店。

 天然昆布から出る豊かな旨みに加えて、かん水を最小限しか含んでないヘルシーな麺は手打ちならではの強いコシで歯ごたえ抜群だ。独自の工夫を重ねてきた富山ブラック「ラーメン」(800円)が人気の同店だが、ぜひここはトッピング「土佐丸」(200円)も加えて味わっていただきたい。

 「土佐丸」はこれまで、高原価のため期間限定でしか出せなかったそうだが、このほど通年で提供されるようになった。国内最高水準の本枯れかつお節と有明の海苔がセットになっており、かつお節は麺の上に、切れ込みが入った海苔は器の上にのせていただく。海苔の切り込みから麺をすくって食べていくスタイルで、食べ進めるうちに海苔はスープの中に溶けていき、富山ブラックの味わいをぐっと深めてくれる。

 「万里」の「ラーメン」(800円)

 「ラーメン」にかつお節と海苔「土佐丸」(200円)をトッピング

親しみやすい味を目指した「次元」

 最後の一滴まで飲みきれる、親しみやすい富山ブラックを希望する人は富山・高岡市に店を構える「らぁめん次元」へ。ここの富山ブラック「黒醤油ラーメン」(680円) は、見た目はあくまでもブラックながら、魚介の旨味を閉じ込めたスープは濃厚過ぎず、それでいてあっさりしすぎないのが特長。もちろん、富山ブラックらしいコクのある醤油の風味もしっかりである。

 「らぁめん次元」

 「黒醤油ラーメン」(680円)

具沢山なつけ麺タイプの「つけめん えびすこ」

 富山ブラックをつけ麺で味わえるのが、富山市内に店を構える「つけめん えびすこ」。豚の角煮やチャーシュー、牛スジなどを入れた濃厚なスープと、腰の強い自家製麺は相性抜群。「変化玉」と名付けられた半熟玉子を途中で割って黄身を出し、味を変えるのがえびすこ流だ。また、ボリューム満点なのもこのつけ麺の魅力。店ではIHヒーター付きで提供してくれるので、スープは最後まで温かく保つことができる。そんな優しい配慮も、おいしく感じられるポイントだろう。

 「つけめん えびすこ」の「特製つけめん(変化玉付き)」(950円)

 ●information
 つけめん えびすこ
 富山県富山市上袋58-1

 同じ富山ブラックであっても店によって個性はそれぞれで、大きく分けると「元来の味を変えない店」と「地元以外の人にも親しみやすいように味を変えている店」と言えそうだ。とは言え、どの店も名前の通りブラックなので、初めての人は見た目にびっくりしてしまうかもしれない。そんな人もはまってしまうのが富山ブラックの魅力。思う存分、食べ歩いていただきたい。

 ※記事中の情報・価格は2015年2月取材時のもの。価格は税込