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「カジュアル」VS「高付加価値」 大塚家具、激化する委任状争奪戦

「カジュアル」VS「高付加価値」 大塚家具、激化する委任状争奪戦

会長の父親と社長の娘が経営をめぐって対立している大塚家具が27日に開く株主総会まで10日を切った。大塚久美子社長と創業者の勝久会長は互いに相手を経営陣から外す取締役案を提出している。気軽に入れる店づくりを目指す久美子氏の「カジュアル路線」と、接客に注力して家具一式を売り込む勝久氏の「高付加価値路線」。真っ向から対立する経営方針を掲げ、株主の議決権を集める委任状争奪戦(プロキシファイト)が激しくなっている。

 「中期経営計画で説明している経営戦略やガバナンスをご理解いただき、ご投票いただきたい」。17日夜、BS11の番組に出演した久美子氏はこう述べ、改めて株主に支持を訴えた。

 久美子氏が目指すのは、勝久氏が作り上げた販売手法からの脱却。同社は勝久氏の下、顧客が氏名や住所を記す「会員制」を採用し、店員がついて回って婚礼や引っ越し用の「まとめ買い」を勧める方法で成長してきた。

 これを久美子氏は、住宅着工が減っている市場環境に合わなくなっていると指摘。2月下旬にまとめた中期経営計画では、気軽に見て回れる店を作り「単品買い需要の呼び戻し」を進めることを訴えた。

 対する勝久氏は「企業価値向上策」で「安易な低価格路線で収益力の低下につながる」と批判。「3世代に愛され、家族で来店してもらうには幅広い品ぞろえの大型店舗が必要」「家具のブランドや品質について丁寧に説明する」と述べ、付加価値を高める売り方を続ける考えを示した。

 両者はそれぞれ業績を回復させ、配当を増額する計画を示している。大塚家具の業績は、ニトリやイケアなど低価格の新業態が勢力を伸ばした2000年代前半以降、低迷。平成26年12月期には4億円の営業赤字に転落した。

 どちらの計画に分があるのか。SMBCフレンド調査センターの田中俊上席主任研究員は「市場が縮小する中、家具業者が成長するには都市部で店を増やし、ぶらり立ち寄る不特定多数の客を取り込む必要がある」と指摘。そのためには「入店の心理的ハードルを下げなければならない」とする。一方で田中氏は、まとめ買い需要が消えるわけではなく「一式販売のため郊外に広いショールームを構えることが適している」とも話す。

 公式にはこれまで、大株主の米ファンドが久美子氏支持を表明。機関投資家の行動に影響を与える投資助言会社大手2社も久美子氏の計画に賛成した。勝敗を最終的に決めるのは、議決権の約4割を持つ少数株主や個人株主。両氏は支持拡大へ、追い込みをかける。