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エミレーツ航空、A380改良でエアバスに圧力

 [FT]エミレーツ航空、A380改良でエアバスに圧力

 

  欧州の航空機大手エアバスが、超大型旅客機「A380」の最重要顧客から要求を突きつけられている。設計から就航までに十数年を要し、すでに数十億ユーロの資金が投じられている同機を改良するのか否か、今月中に決断せよと迫られているのだ。

  A380を最も多く運航しているエミレーツ航空のティム・クラーク社長は、座席数が500を超えるこの世界最大のジェット機にもっと燃費効率の高い新エンジンを搭載するようエアバスに求めており、その回答に期限を設けたと話している。

 ヒースロー空港に到着したエアバスのA380=ロイター

 

  「我々は今年1月、トゥールーズで面談した」。クラーク社長は本紙(英フィナンシャル・タイムズ)のインタビューでこう語った。「3月の半ばまでには決めてほしいと言った。先方は同意して、3月には何らかのビジネスプランができるだろう、そうしたらそれを監査役会にかけると言った」

  フランスのトゥールーズに本社を構えるエアバスは、クラーク氏にした約束についてはコメントしないと述べた。

  「ただし、エアバス・グループではいかなる決断も、すべての疑問に答えが出た適切な時期にしか出されない」と同社は語った。「この件については、すべての関係者と連絡を取り合っている」

 ■エンジンは1990年代後半に設計

  1985年の創業から成長し続け、ついに座席数で世界最大の国際線航空会社へと上り詰めたエミレーツ航空をさらに大きくしようというクラーク社長の計画にとって、A380の将来は非常に重要だ。

  A380を主力機に位置づけているエミレーツは、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにあるハブから148都市に多数の乗客と大量の貨物を運ぶことで市場シェアを高めてきた。

  しかし、A380のエンジンは1990年代後半に設計されたもので、新世代のエンジンに比べれば見劣りする。エミレーツはA380を計140機発注したが、そのうち81機はまだ納入されていないため、これらの機体では最新技術による大幅な燃費節減を図りたいというのがクラーク社長の考えだ。

  「ここをちゃんとやれば、恐らくコストを10%~13%も削減できる」とクラーク氏は語った。

  しかし、エアバスはためらっている。この機種では新しい顧客の獲得に以前から苦労しており、今年に入ってようやく現在の生産コストをカバーできるようになったという経緯があるため、さらに資金をつぎ込むことには抵抗があるのだ。

  エアバスのハラルド・ウィルヘルム財務担当取締役は昨年12月、新規の受注がなければA380の生産を打ち切る可能性があることを示唆した。この発言は、数人の取締役が共有していると思われる。