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明石公園汚すのは…カワウのフンで樹木真っ白

 明石公園汚すのは…カワウのフンで樹木真っ白

 雪も降っていないのに、樹木が真っ白になった不思議な光景が、県立明石公園(明石市)で頻繁にみられるようになった。内堀に茂った広葉樹林をカワウの群れが夜間「ねぐら」にしているとみられ、枝葉がそのフンで白く汚れるためだ。野鳥の専門家は「カワウが市街地をねぐらにするのは珍しい」とするが、公園の管理者は「観光名所だけに景観が悪化しないかが心配だ」とやきもきしている。(望月弘行)

  • 市民や観光客の憩いの場でもある県立明石公園。カワウのフンで樹木は雪化粧したように白く見える
  •   バサ、バサ、バサッ……。夕暮れ時、黒い羽を広げたカワウがどこからともなく現れ、樹木に次々と降り立つ。羽を休めながら、低く鈍い鳴き声をとどろかせる。

      公園を管理する県園芸・公園協会などによると、カワウが集団で現れるようになったのは2013年12月頃。正面入り口から西約100メートルの内堀土手にあるウバメガシなど十数本を「ねぐら」にするようになった。春には繁殖地へ飛び立ったが、昨年末には再び舞い戻ってきた。今年2月頃からは、葉や枝にこびりついた白いフンの汚れが目立つようになったという。

      カワウは通常、水辺に近く、人けの少ない山林をねぐらや繁殖地にするといわれ、伊丹市の昆陽池や滋賀県の琵琶湖では樹木の枯死などの被害が深刻化。各地の河川でも放流アユの稚魚が捕食されるなどの被害が相次いでおり、全国で毎年約1万~3万羽が有害鳥獣として駆除されている。

      JR明石駅前にある明石公園の周辺は住宅街で人通りも比較的多い。日本野鳥の会ひょうごの奥野俊博幹事は「周辺を車や人が頻繁に往来する市街地がカワウのねぐらになるのは珍しい」と話す。

      県園芸・公園協会明石公園管理課の大豊雅宏課長は「今のところ木が枯れたり、人的被害を招いたりする心配はなさそうなので、しばらくは見守るしかない」と様子をみている。

      4月になれば、繁殖地へ移動すると推測されるが、カワウの生態に詳しい滋賀県立琵琶湖博物館の亀田佳代子・総括学芸員は「巣作りを始めていないか注意する必要がある。繁殖地になれば、集団が大きくなったりして被害が拡大するかもしれない。樹木が枯れたり、フンによる富栄養化で水辺の水質が悪化したりする恐れもある。早めに方針を決めて対策を検討したほうがいい」と指摘する。