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アイドリング!!!がアイドルブームにもたらした本当の功績

アイドリング!!!がアイドルブームにもたらした本当の功績

 

「アイドリング!!!解散」2月終わり、スポーツ新聞を飾ったこの見出しに激震が走った。

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しかも一部スポーツ新聞の報道のみ、公式発表がないこともあり元メンバーも巻き込んで様々な憶測を呼ぶ中、3月3日に公式HPにて統括プロデューサーの神原孝氏は「昨年末より番組及びグループ活動の終了の話が現実味を帯びてきたのは事実です」とグループが解散に進んでいたことを発表した。まだ未確定ではあるものの、終了時期に向けての展開についても触れており、結果、長きに渡る活動に幕を下ろすと相成りそうだ。

このニュースは連日メディアでも取り上げられ、再び大きな注目を浴びることとなった彼女たち。ここではアイドリング!!!が残してきた数々の功績を振り返りたい。

時は2006年、Perfumeが『Complete Best』を発売しジワジワと支持を集めはじめ、AKB48が『会いたかった』でメジャーデビュー。℃-uteが『まっさらブルージーンズ』、THE ポッシボーが『ヤングDAYS!!』、9nineが『Sweet Snow』でCDデビューを果たし、中野腐女子シスターズ(現:中野風女シスターズ/風男塾)が誕生と、まさに現在のアイドルシーンの礎を築いたとも言える年に、アイドリング!!!は産声を上げた。

“歌って踊る”がアイドルの基本姿勢の中、アイドリング!!!は、おニャン子クラブ、チェキッ娘を生み出したフジテレビが先輩たちの流れを汲むようにバラエティを中心にその活動をスタートさせた。

1期生9人がMCのバカリズムと共に毎回大縄飛びや、リンボーダンスなどに挑戦する「ガンバリング!!!」、外岡えりか、横山ルリカがメンバーに勉強を教える「教えて!中3先生!!!」といった各種コーナーで、「現在進行形で成長するアイドル」というコンセプト通り、メンバーの成長をリアルタイムで見守るという内容……だったのだが、不甲斐ない結果を連発するメンバーに対し、次第にバカリズムを筆頭にスタッフからの圧が加わり内容が過激化。フジテレビの1階から球体展望台まで延々とマラソンさせるだけの日、ガチンコの格闘技講座(しかも関節技)、果てはメンバー同士で相撲をとらせる「アイドル大相撲」(しかも優勝者はアナウンサー)と、およそ他のアイドルがしない企画を連発。後に、2期、3期と新メンバーが加入するたびに内容はハードに。大人たちに翻弄され、蹂躙されるアイドルの姿を淡々と画面を通して映し出すという、異常で最高に面白い光景を生み出した。この展開は功を奏し、アイドリング!!!のバラエティ力は完全に開眼。結果、最初の1年半ほどは、関東地方、高知県のみと2局のみの放送だった番組は、次第にネット局を増し続け、北は北海道から南は沖縄まで、数多くの系列局が彼女らの姿を映した。アイドルが徹底的に身体を張る内容は、2008年から放送が始まるAKB48のバラエティ番組「AKBINGO!」はもちろん、後に作られるアイドルバラエティのベースを築いたとも言え、彼女たちが今のアイドルバラエティに一石投じたのは非常に興味深い。

そしてもう一つ、Tokyo Idol Festivalの誕生だ。アイドリング!!!前プロデューサー・門澤清太氏の「アイドル多様性時代」へ向かっていることを世間に広めたいという発案により2010年にスタートしたTIF。メジャー、マイナー問わず数多くのアイドル達の輝く場所を提供し、今や夏の風物詩と化した巨大イベントだ。その中でアイドリング!!!メンバーは、ライヴはもちろん、ホスト的役割を担いMCやトークショーの司会と八面六臂の活躍を見せ、出演アイドルたちの多様な魅力を引き出してきた。同イベントの成功は、@JAM the Fieldやアイドル甲子園のようなアイドルイベント誕生の土壌を生み出したはずだ。まさにアイドリング!!!なくして、今のアイドルシーンは生まれなかったと言えるだろう。

一部メディアの雑な言い方でまとめてしまうのはもったいないほど、彼女たちが作り上げた貢献度は計り知れない。だからこそ、ここでアイドリング!!!という存在を失うのは非常にシーンにとっても痛手なはずだ。

つい先日、23号の伊藤祐奈が卒業を発表のニュースが飛び込んできた。それでも3月18日にアルバム発売、4月5日には「アイドリング!!!FES2015」を開催予定と、まだまだアイドリング!!!は走り続ける。これからも遺していく歩みの跡を見届けていきたいものだ。
(田口俊輔)